学問・資格

積み重ねること

英会話教室の主催者として、いつも考えるのは「どうすれば生徒さんの英語力を伸ばせるか」。私自身も大学卒業後ロンドンに在住したものの、いわゆる英語を自然に身につけた”帰国子女”ではありません。公立の小、中、高校に通い、私立大学に進学した時点では、まったく英会話はマスターしていませんでした。

大学卒業後、渡英したのですが、季節は4月。ロンドンはイースターホリディ真っ最中ということで軒並み飲食店はCLOSED!記念すべきロンドン第1日目の食事は仕方なくマクドナルドへ。そしてそれが私の語学留学のつまずき第1歩になるとは‥‥。カウンターに立って「チーズバーガーとコーラをください!」というと、チーズバーガーはでてきたのですがコーラがどうも通じてない!?そして何度も「コーラをください。コーラをください。」と繰り返しようやく「あぁ、コークね、君の発音は悪くて全然分からなかったよ」と差別的ないじわるを受けた私は、とても恥ずかしい思いでチーズバーガーとコーラをホテルに持ち帰っても食べる気がうせ、いきなり「帰りたい‥‥」とカバンにある航空券をしばらく見つめていました。

なんとか気を持ち直してロンドンでの生活をスタートさせるのですが、初日のショックが大きかったのか次の日から口を貝のように閉ざしてしまい、自分の気持ちを伝えることが出来ない日々が始まったのです。いろいろなパーティにお誘いしていただいて行くのですが、ほとんど話さず、ただ人の話を聞いて頷くだけの日々が続きました。

ところが、そんなロンドン生活が1ヶ月を過ぎたころミラクルが起こります。あるパーティでホストの方の料理作りを手伝っていると、突然口からペラペラと英語がすべりだしたのです。それも文法的にもほぼ完璧に近い形で!「誰か止めてぇ~」みたいな状態で自分で驚きながら、でも英語が次から次へとでてくるのです。1ヶ月の無口生活がよほど辛かったのか、人と話したくてしかたがかったのか、もう誰も止められない状態になりました。

その現象を自分なりに解明してみると、やはり受験英語になるわけです。あんなに勉強した日々は後にも先にもない、というくらい机にかじりついていた受験時代。その時に毎日、毎日繰り返し勉強した英語が私の中に積み重なり、それがロンドン生活1ヶ月後に爆発したとしか考えられません。少しずつ積み重ねたものは、もしかしたら簡単には失われないのかもしれません。英語漬けの毎日を日本で送ることは難しいですが、それでも毎日少しでも英語に触れることは英語学習の王道なのかもしれません。「どのように英語に触れる時間を提供できるか」が英語を教える者の使命なのかもしれません。少しずつ積み重ねる作業は決して楽ではありません。成果を感じることがなかなか出来ないからです。でも、今英語を勉強している方はその「積み重ねている」という自分を信じてほしい。それは簡単には成果をださないかもしれませんが、その日は必ず来ます。

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